【連載第2回】トライアスロン部『肘打ち、つる足、消えたボトル。トラブルのフルコースを泥臭く駆け抜けろ!――第2戦・いわき大会』
連載企画|大学から始めたトライアスロン、挑戦と成長の4戦記
大学入学を機に、未経験からトライアスロンの世界に飛び込んだ、仙台大学現代武道学科1年の佐藤陽生(さとう はるき)さん。「きつくて、自分を追い込める環境」を求めて挑戦を始めた佐藤さんが、初めての大会で経験した挫折や葛藤、そして成長の軌跡を、全4回にわたり本人の言葉でお届けする連載企画です。第1回の七ヶ浜大会では、初めてのレースで思い通りにいかない現実に直面。それでも、苦しさの先にある新たな発見と、次への挑戦意欲を手にしました。
▶ 第1回「なぜ私は大学から、最も過酷なスポーツを選んだのか?――第1戦・七ヶ浜大会」
https://senspo.sendaidaigaku.jp/topics_detail.html?post=1312
【第2回|トラブルを乗り越える泥臭さ】
デビュー戦を終え、少しはレースの流れを掴んだはずだった。しかし、距離が倍になる「スタンダードディスタンス(51.5km)」の世界は、想像以上に甘くありませんでした。次々に襲いかかる想定外のトラブルに、1年生はどう立ち向かったのか?
初めての県外遠征。準備は万全のはずだった
2回目に出場した大会は、福島県で開催された「うつくしまトライアスロン in いわき」。今年からいわきに舞台が移った、記念すべき第1回大会です。今回は県外での試合。遠征のため、朝4時前に自宅から大学まで送ってもらい、部長の先生と合流して車で現地へ向かいました。到着後、コースを下見しながら入念に準備を進めます。先輩に教わった通り、バイクのフレームに補給用ゼリーを養生テープで貼り付け、タイム短縮のためにビンディングシューズを輪ゴムでバイクに固定。やれる準備はすべてやり尽くし、スタートの時を待ちました。
いわき大会の会場で(佐藤選手)
肘打ちでゴーグルが外れた!波乱のスイム
今回のスイム(1.5km)は、途中で陸上に上がれない水中スタートの特設コース。
いわき大会のスイム会場
「スイム力の差が出やすい」と聞いていたので、不安が頭をよぎる中、一斉に泳ぎ出しました。
まっすぐ泳いでいるつもりなのに、左右に大きくズレてしまう。コースロープを避けようとして逆に激突し、周りの選手と激しく接触。前後の人と手足が当たり、挙句の果てには……激しいバトルの最中、肘打ちを喰らってゴーグルを外されてしまいました。
一瞬パニックになりかけましたが、「こういう時こそ焦るな。息を整えて、冷静になれ」と言い聞かせ、水中でゴーグルをつけ直し、気を取り直して泳ぎ進めることができました。一歩成長を感じた瞬間でした。
足がつり、ボトルも落下。試練のバイク
しかし、本当の試練はバイクパートで待っていました。スイムを終えてバイクに飛び乗った瞬間、仕込んでいた輪ゴムが予想外のタイミングで外れ、シューズがブラブラして履くのに大苦労。余計な筋肉を使ってしまい、乗り出し早々に足がつるという最悪のスタートになりました。
痛みを我慢しながら、なんとかペダルを回して筋肉をほぐします。
「よし、次は補給だ」
ゼリーを口に流し込み、一安心したのも束の間。水分補給をしようとした瞬間、手が滑ってボトルを1本コース上に落としてしまいました。
「やってしまった……!」
一瞬絶望しましたが、残ったもう1本のボトルで持たせるしかない。足が思うように回らず、スピードは30km/h程度。それでも「最低限、このペースだけは死守する」とひたすら漕ぎ続け、なんとか最終パートへ繋ぎました。
脇腹の激痛。それでもゴールへ
最後のラン(10km)。出だしこそ良いペースでしたが、すぐにあの「脇腹の痛み」が襲ってきました。最初は左側。時間が経つにつれ右側も。最後には、呼吸すら苦しくなるほどの激痛に変わり、まともに走れなくなってしまいました。
「足はまだ動く。息も上がっていない。なのに、脇腹が痛いだけで、なんでこんなに走れないんだ……」
悔しくて、悔しくてたまりませんでした。
そんなボロボロの私を見つけて、コース脇から先生や先輩方が「頑張れ!」「いけるぞ!」と何度も声をかけてくれました。
途中、情けなくて歩いてしまう場面もありましたが、最後はみんなの声に応えたくて、気合いだけで足を動かし、なんとか無事にゴールを駆け抜けました。
悔しさの先に見つけた、次への原動力
ゴールして突きつけられたのは、厳しい現実でした。「距離がスプリントからスタンダードに変わるだけで、ここまで悲惨な状況になるのか……」
前回の経験があっても、2戦目は全くの別物。基礎的な力が何もかも足りないのを強く思い知らされました。
でも、だからこそ、早く次の練習がしたい。この悔しさを味わえたこと自体が、大学で新しい世界に飛び込んだからこそ得られた、最高の財産です。
(続く:次回は③山形ボランティア編。選手ではない形で見えた、もう一つのリアルとは!?)
今回の学び: トラブルがあっても焦らず冷静に対処する精神的成長。
次回予告: 悔し涙を流した2戦目。そのわずか1週間後、私は「選手ではない形」で大会の現場に立っていた――。