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【クリケット部】西村 あかり 選手、「FairBreak Invitational 2023」でプロ契約


クリケット部 西村 あかり:「Tornadoes」のユニフォームで

 

今年は野球のWBCも盛り上がりましたが、仙台大学では世界につながる「クリケット」に取り組んでいるクラブがあります。日本ではまだ競技人口は多くないものの、世界では競技人口3億人とも言われる「クリケット」。
本学では日本クリケット協会と提携し「仙台大学女子日本代表チャレンジプロジェクト」を実施してきました。その1期生として2018年にクリケットを始め、2019年から日本代表に選出されている本学クリケット部の西村あかりコーチが、今回、36カ国以上から90名の選手が選出され6つのチームで戦う、「FairBreak Invitational 2023」第2回 香港大会でチーム「Tornadoes」の一員としてプロ契約を果たしました。
「Tornadoes」は、2022年の第1回ドバイ大会の初代チャンピオンチームで、今回は西村選手の加入で12か国出身の15人の選手で構成されました。残念ながらケガにより試合での出場は叶いませんでしたが、大会を通じて感じた壁や世界で戦うために必要な強さについて、西村選手が振り返ってくれました。

初のプロ契約、嬉しさと戸惑いの狭間で

 「FairBreak Invitational 2023」出場にあたり、たくさんのサポート、応援のご連絡をいただき本当にありがとうございました。

 「Fair Break Invitational」は、Fair Break Global(本部:オーストラリア、代表:Shaun Martyn)により2022年に創設されたリーグで、4月に開催された「Fair Break Invitational 2023」は、6チームに30以上の国と地域から約90人の選手が参加し香港で開催されました。 

 私自身、クリケット選手として初のプロ契約をしていただき、本当に嬉しかったですし夢が叶った瞬間でもありました。結果として、親指の靭帯を損傷し試合に出ることはできませんでしたが、名だたる選手がいる環境で一緒にトレーニングやチームの一員として帯同することができ、とても貴重な経験をすることができました。
 

一生忘れられないもどかしさ

 今大会に参加することが決まった時を思い返すと、複雑な感情だったことを覚えています。自分の能力が認められプロ選手として選んでいただけたことへの喜び。一方で、トップ選手と比べてスキルはもちろん、「言語」の壁をどう乗り越えようかと不安を抱いていました。

 チームスポーツでは選手・スタッフたちとのコミュニケーションが非常に重要であり、本大会のような短期間の大会では特に重要なアクションです。しかし、チーム内のコミュニケーションは全て英語。うまくコミュニケーションが取れず、ミーティング内容や試合の戦術を理解するのにも非常に苦戦しました。頭ではコミュニケーションの重要性は理解していても、それがうまくできないもどかしさは一生忘れないと思います。
 

もがきながらも「自分らしく」

 こうした辛い状況もありましたが、とにかく「自分らしく」毎日必死で競技に取り組み、言葉の壁にも立ち向かうことで、徐々にチームメイトともコミュニケーションが取れはじめました。クリケットを始めたときから、ずっと私には ”誰よりもうまくなってやる!”という闘志とハングリー精神があります。がむしゃらに過ごすうち、うまく英語が話せなくても、スポーツを通してコミュニケーションが取れることを身をもって感じることができました。
 
 ただ、もし英語を理解して話ができていたら…。もっと、世界から集まってきた精鋭の選手たちからスキルや戦術、考え方などをたくさん吸収できる機会となったと思います。語学力の重要性、これは今大会に参加して、一番の学びとなりました。
 

世界の選手の「プロ意識の高さ」

 もう一つ身をもって学んだ重要なことがあります。それは競技に向かう姿勢です。
世界のトップ選手と一緒に競技に向き合う中で、”プロ意識の高さ”の差を感じました。
彼らは「試合はもちろん練習への姿勢」「食事を含む身体のケア」「ON /OFFの切り替え」など、プロ選手として何をすべきかを自ら管理していました。

 言葉で書くと簡単そうで当たり前に思えることではありますが、これらを高いレベルで継続できる人こそが世界トップの選手だと思います。いきなり全てを自分のものにすることは難しいですが、この経験を糧に一つずつ意識を変え、世界のトップを目指して行動を継続していきたいと思います。
 

世界は見てくれている!次のチャンスを勝ち取るために

 この大会を通じて、辛い思いやできなかったことが沢山ありましたが、自分自身いろいろな意味でまだまだ成長できるという確信を持つことができました。

 私もクリケットを始めたときは、このような機会に恵まれるとは思いもせず、ただいつか世界で戦う選手になれればと憧れていました。
 私がこの大会から招集を受けることになったのは、2022年女子東アジアカップでウィケットキーパー・バッターとして自身初のハーフセンチュリー(バッターとして1試合で50ラン得点すること)を達成したことが認められたからだと思います。
 
 日本はまだクリケットシーンでメジャーとは言えないですが、日本代表として国際大会で活躍すれば、世界に見つけてもらえるのです。今回はまだ準備が足りず、この機会で100%力が出せたとは言えません。今後いつ、どのタイミングで来るかわからないチャンスをしっかり自分らしく掴み取るために、最善の準備をしていきたいです。

 そして、今回実際自分が味わった思い、悔しさ、世界の選手たちの競技との向き合い方などを仙台大学クリケット部で一緒に戦う選手たちに惜しみなく伝え、ともにこのクラブを日本一、世界一のチームにしていきたいと思っています。

 

〇 仙台大学 クリケット部 紹介動画

Part3: クリケット部 西村選手(旧姓 鹿野)のインタビュー、クリケット部の練習風景


Part1:亘理町・日本クリケット協会との協定、亘理町に新設されたグラウンドでの東北リーグ大会、亘理町でのクリケット体験会の様子


Part2:亘理町の紹介やトレーニング風景